携帯小説的恋
あたしと桃花ちゃんが、二人でヨタヨタと箱を運んでいると、

星野さんが、ちょっと先の通路を一人で軽々箱を抱えて下りていく。

グランド横のベンチの上に置かれたジャグに、マノさんがスポーツドリンクを作っていた。

あたし達が、箱をその足元に置くと、

「ありがとう、助かったわ」

とマノさんが笑った。

「それにしても、星野さんて力持ちだね?」

「え、だ、だって、あの双子を両脇に抱えてダッシュ、なんて日常茶飯事で、だから、あたし腕力には自信があるの」

星野さんが、右腕に力コブを作って見せてくれる。

そんなお茶目な姿が、また、魅力的な星野さん。

と、グランドに大きなフォイッスルの音が鳴り響いた。

「整列!」

散らばっていた子供達が、その合図でグランド中央へと集まっていった。

「あたし達は、上で見学しましょ」

マノさんの声かけで、あたし達は荷物のある席へと戻った。

――あ、月人君だ。

いつの間にか、月人君がその輪に加わっていた。

「今日は、新しいメンバーを紹介する。琢磨と走磨だ。二人とも四年生。脚はかなり早いぞぉ。みんな気を抜くなぁ~」

グランドに響いたのは、月人君の声だった。
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