君のそばに
7.文化祭−−当日


文化祭当日の天気は見事な晴れ。

昨日の雨が嘘のような雲一つない空に私の心は弾んだ。



結局、昨日は中履きで帰ってしまい今日は学校の来客用のスリッパを履くことになりそうだ。

私はそっとため息をついた。



校門に到着すると、もう沢山の生徒たちの姿があった。

そして入口には、金色の装飾を施した石の柱の門があり、なかなか洒落ていた。


というか、こういう準備って昨日までにしてあるはずだよね?

全然気づかなかった。


私は改めて門を見上げた。



すると背後から

「おはようございます!!」

と声がした。振り向くと、そこには皐月の姿があった。



「おはよう、皐月」

「すっごいですよね〜!この門!すごいお金かけてますよ、絶対!」

目を爛々と輝かせながら楽しそうに皐月が言った。


「皐月のクラスは何をやるの?」

と、私が聞くと皐月は門を見上げたまま「エセエステです」と言った。


「…エセエステ…?」

「はい。本当はエステなんですけど、エステの勉強をしたことがない生徒がやるので、エセです!」

皐月は鼻息荒く言った。…何だかあまりクラスの出し物に納得いってないようだ。


「でもエステに使うローションはお金かかってるし、家でも簡単に出来るエステとかもあるから少しは楽しめると思いますよ!」

皐月は今度はニッコリ笑って言った。


私は生まれてこの方一度もエステとかに行ったことがないから、皐月の話に興味が湧いた。

明日とかに柚を誘ってみようかな。



< 182 / 185 >

この作品をシェア

pagetop