【短編】ビターチョコレート。
『お前何してんの?』




陸が呆れながら、私に尋ねた。




「だって夢かと思ったんだもん…陸が..私..の目...の前にいるなんて...」




不安な気持ちが、涙となって再び私の頬を伝う。




『ごめんな...俺、杏の彼氏失格だよな…』




さっきまで、おどけていた陸が、いきなり真剣な眼差しで言う。




「陸..は、わ..たしの彼氏...失格な..んかじゃ...ないよ!!!!!」




泣いている為、声がつっかえてしまう…




伝えたい事を、ちゃんと伝えられないもどかしさに、余計に涙が溢れてきた。




『杏との記念日忘れちまう最低男だぞ…?』




とても哀しそうな顔をしていた…




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