王様と料理人
相変わらず、へらりと笑うラウル王。

王様ってもっと威厳があるもんだと思ってたのに…。

「何?」

無意識に眺めていたらしい。

小首を傾げられた。

…傾げられても可愛くはない。

だが口には出さず、黙々とセッティングを進める。

「トーコ様。今日はシンプルなお菓子ですね。」

リュウさんが興味津々に言う。

「リュウさん、様は付けないでくださいってば。ちなみにコレは、コーヒーゼリーと言います。1つ召し上がりますか?」

なるべくサラっと聞いたつもりだったが、やはりラウル王の横槍が入った。

「ダーメ。トーコちゃんが作ったものは俺のモノ。トーコちゃんは俺のモノ。」

後半おかしい。

そもそも何。
その某ガキ大将みたいな台詞。

「ラウル様。分かっていますから、何気なく殺気を出さないでください。…ほら、時間がなくなりますよ。」

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