王様と料理人
ラウル王のためのアフタヌーンティーのセットを片付け始める。

頭を撫でていた手は、自然と離れていた。


「では、失礼します。」

一礼して退室する。

ラウル王の命令で、私は3度の食事と午後のお茶の際の給仕もしている。

さらには、共に飲食するようにとも言われ、最近ではすっかり王の話相手状態だ。

やたらと触られるのにも慣れつつある自分が嫌だ。

兄もよく頭を撫でてくれる人だったから、あまり抵抗が無いのも問題なのか。

「ま…帰るまでのことだしね。」

うん、そうだ。

それまでのことなんだから、せめてラウル王に恩返しくらいしなきゃいけないかも。

ゆっくり雑談するような相手も暇もないんだろうし。

日々の話し相手くらい我慢するか。

アレだ、要するにボランティアだボランティア。

私が決意も新たに歩いている頃、ラウル王もまた決意を胸に秘めていた事など、私は知る由もなかった。




(逃がさないよ、トーコちゃん)



< 3 / 47 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop