王様と料理人
「あ、あの、私サリと言います。侍女見習いです。」

「僕はスイ。事務官だよ。」

「俺、ルカ。護衛官だ。」

私の自己紹介を理解したからか、3人も簡単に名乗ってくれた。

「サリにスイにルカですね。しばらくよろしくお願いします。ハイこれ。お近付きの印にどうぞ。」

先ほど引っ掴んだ籠の中から、ラッピングした焼き菓子の詰め合せを1人1人に渡す。

「あ、ありがとうございます!…嬉しい!」

パァと顔を輝かせるサリ。

うんうん、美少女って素敵。

「トーコさ…トーコの手作り?」

様付けしそうになったスイをちらりと睨むと、ぎりぎり踏み留まってセーフ。

「このフィナンシェやマドレーヌ達は、トーコレシピを参考に料理人見習いの皆さんに作っていただきました。」

一応ラウル王以外に手作りはしないというのが約束だしね。



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