─ Alice ?─




「罪人ありす。君に最後の選択肢を与える。」



ビルさんは真っ直ぐに私を見据え、そう言う。



「不思議の国を愛し、この狂った住人たちを愛し、自惚れることなく、皆の為に、皆のアリスとして生きていくのならば、この国に残るがいい。



だが、




この世界に恐怖を抱き、住人たちを受け入れず、皆に愛され、皆に必要とされたいと願っているのであれば、元の世界へ帰るがいい。」



どちらも当てはまっていた。


ここまで狂わせてしまったこの世界。私がどうにかしなくちゃ。

目の前で崩れた沢山の人たち。


血が溜まり、異臭を放つ多くの住人。


殺したのは黒兎さん。
でもそうさせたのは私。



黒兎さんが狂ったせいで


国は崩れ、皆は壊れた。



私が、この国を救わなければ




この国は、消える。




「私は、この国を救いたい。


昔のように、皆が笑っていた世界に。」



「では次の選択肢をあげよう。




君は何の力を手にし、この世界を救う?


どの住人を選び、この世界を救う?」


胸が張り裂けそうだった。


結局私は誰か一人を選択しなければいけない。



黒兎さんは微笑む。


ビルさんはただ真っ直ぐに私を見据える。




私は――――――。
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