─ Alice ?─



ド   ク   ン 。



心臓が大きく跳ね上がる。




「っ…!!チェシャ猫、貴方が…仕組んだの?私を…ありすを、騙した…?」



訳が分からなかった。


チェシャ猫に何をされたのか




私は簡単に騙されていた



チェシャ猫の計画にまんまと嵌められ、大きな過ちを犯してしまった。




私の過ちで、『不思議の国』が消えてしまう。


私の過ちで、沢山の人たちが消えてしまう。




私の過ちで





私の、せいで ・・・






また、この国を 狂 わ せ る 。






ポツポツと、雫のように浮かんでは消えていく記憶。



顔が浮かぶのに、名前が分からない


名前は分かるのに、顔が思い出せない



確実に、私の中を蝕み続けるチェシャ猫の力




チェシャ猫の【 導き 】は破滅へと向かう。






「全て、消してやるよ。

不必要な情報は全て消し去ってやるよ。


アリス…お前は記憶という不必要なものに縛られている。だから弱くて、儚い。だから俺はお前の記憶を消す。



そうすればお前は幸せになれる。」



フッ、と笑ったチェシャ猫は





私を迎えにきたときのように紳士な顔をしていた。
< 344 / 397 >

この作品をシェア

pagetop