─ Alice ?─
………


『ありすが僕を探している』


そう思うだけで笑みが零れる



「──……お……ん 。」



微かに、愛しいありすの声が聞こえる。




少し、距離を詰め、けれどバレないように

耳を傾ける。






「…黒兎お兄さん。」



胸が、破裂するかと思った。


ありすが ありすが


僕のことをまた お兄さんと呼んだ


昔のように 大好きだったありすの



お兄さん 黒兎お兄さんと




思わず一歩、踏みよってしまった




── カ シ ャ ン !



「「あっ……」」


愛しいありすと視線がぶつかる。

けれどその瞳は昔のありすのように澄んだ色ではなくて




「待って…!」




貪欲に 愛ばかり求める




ただの俗物。

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