ミドリの日 (更新停止中)
爆薬のセットが上手くいかなかったと、気が付いた時には既に遅かった。
トランシーバーからの謝罪の声は意味をなさない。
トランシーバーに向かって怒る仲間の叫びも。
貴族達が使うターミナル駅を爆破する計画は、同族には被害が出ないようにしなければならない。
慎重にチームもルートも練ったつもりだったが、1チームのミスだけで大きな穴が出た。
このままでは駅舎がどこに向かって崩れるか分からない。
―罵りも後悔も、今はまだ早い。
「予備一人一個ずつあるよな」
そう言いながらヒサヤは他人のバックパックも漁って爆薬を回収していく。
「ヒサヤ?」
「俺が行く」
手早くバックパックに詰め直すと駅舎の建築図面と路線図、トランシーバーを奪う。
「巻き込まれるぞ!」
トランシーバーを持った手の形のまま、カズトが止める。
「死ぬかよ。下見にも来てんだ、俺が一番分かる」
そう言うヒサヤの目が真っすぐなのを見て、
「こいつも持ってけ」
タカが水と固形食糧を渡す。
「サンキュ」
レッグポーチに詰め込んで、水とトランシーバーを腰につるす。
「ミドリムシ多めの一番良い奴だ」
ヒサヤが顔を上げるとタカは笑って、
「何日かかっても良い。生きて帰って来い」
ヒサヤは頷いて駆け出した。
トランシーバーからの謝罪の声は意味をなさない。
トランシーバーに向かって怒る仲間の叫びも。
貴族達が使うターミナル駅を爆破する計画は、同族には被害が出ないようにしなければならない。
慎重にチームもルートも練ったつもりだったが、1チームのミスだけで大きな穴が出た。
このままでは駅舎がどこに向かって崩れるか分からない。
―罵りも後悔も、今はまだ早い。
「予備一人一個ずつあるよな」
そう言いながらヒサヤは他人のバックパックも漁って爆薬を回収していく。
「ヒサヤ?」
「俺が行く」
手早くバックパックに詰め直すと駅舎の建築図面と路線図、トランシーバーを奪う。
「巻き込まれるぞ!」
トランシーバーを持った手の形のまま、カズトが止める。
「死ぬかよ。下見にも来てんだ、俺が一番分かる」
そう言うヒサヤの目が真っすぐなのを見て、
「こいつも持ってけ」
タカが水と固形食糧を渡す。
「サンキュ」
レッグポーチに詰め込んで、水とトランシーバーを腰につるす。
「ミドリムシ多めの一番良い奴だ」
ヒサヤが顔を上げるとタカは笑って、
「何日かかっても良い。生きて帰って来い」
ヒサヤは頷いて駆け出した。