彼岸花
遂に雪は聖人の入った棺の前に辿り着いた。
雪の目は涙を我慢している為にキラキラと光っていた。
雪に気付いた身内であろう女性が声を掛ける。
『雪ちゃんうちのバカ息子がごめんね。10年間も迷惑かけて。聖人が生きた22年間はあなたのおかげで幸せだったと思う。先に旅に出ちゃったけど笑顔で送ってやってね』
喪服に身を包んだ女性は雪の事を抱きしめていっぱいいっぱい泣きながら謝ってきた。
その女性に抱き締められて雪の我慢も限界に達し目からはポツリポツリと涙が流れ出した。
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