雪情
第17章 雪男の正体
【殺人の目ー1】


バキッ!!





殴られた勢いで
吹っ飛び、
壁に叩き付けられた!





顔には
拳の跡がくっきり残り、

衝撃で
口の中が切れたらしく
血が垂れてきている。





「グ……」




同時に鼻からも
勢いよく鼻血が噴出。




そして、
そのままズルっと
壁にうな垂れるように
床に倒れた。




しかし、
その床に倒れた人物は
小川の方であった。




一瞬の出来事に
全員が度肝を抜かれた。




勢い良く
拳を握り締めながら
突っ込んだ小川は、

逆に白井に殴られ、
壁に吹っ飛ばされたのだ




殴った姿勢のまま
固まっていた白井は
その姿勢を解除し、

小川に近寄ると
襟をグイっと掴み
無理やり起こした。




そのまま
意識が朦朧としている所に
言い放った。




「お前……
…殺してやろうか?」




その言葉は
ひんやりとして、
重みがあった。




小川の言っている
「殺してやる」とは
全く次元が違っていた。




当然である。


白井は過去に
人を殺めているので、

あの時と同じ
殺人の顔になっていた。





「ひ……」




この時
初めて小川は
白井に恐怖を感じた。




先程
雪男に追われていた
感覚と、

全く同じである。




殺される……

命を狙われる感覚…




白井の目は
今までにないくらいに
ギラついており、

まさに
殺人鬼の目であった。



これ以上はマズイ!




と田崎が
止めようとした時、

白井はパッと襟を離した




「少しは反省しろ、
そこで
しばらく頭を冷やしな」




白井は立ち上がり、

一息つく為
テーブルに置いてある
お湯を一杯飲んだ。




「大久保さん、
一応コイツを
手当てしてやってくれ」




そう白井は言うと、
その場にドカっと座った
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