雪情
【火で灯す闇ー2】


クソ………

クソ!!!!

クソ!!!!!!!




またも心臓に
銃弾の跡が
見つかったのだ。




「何て事だ…!!」




田崎に無念と悔しさ、
後悔までも残る。




ついに
第三の殺人まで
許してしまったのだ。




田崎がふと見ると、
窓が全開であるのに
気付いた。




まさか、
本当に雪男が飛んで

二階に上がってきたの
だろうか?




ありえもしない。


そんな事を考えるより

今は何かを見たであろう
大久保に
話を聞くのが一番だ。




田崎は窓をパタリ閉め、
鍵を掛けた。




そして大久保に歩み寄り
静かに聞いた。




「…何があったのですか」




聞かれた大久保は、
先程より震えが
収まってきている。




一度深呼吸し、
落ち着いたとこで
話し始めてくれた。




「わ、私が
ドアを開けると…
目の前に……
目のま、前に…」




「落ち着いてください
大久保さん。

ゆっくりで
いいですので」




まだ落ち着きを
完全に
取り戻してなさそうな
大久保は、

もう一度
大きく深呼吸をした。




「刑事さん……
私の目の前に、
ゆ、ゆ、雪男が
いたんです…」




「!!?」




その言葉に
田崎は耳を疑った。




まさか
こんなとこに

雪男が現れたと
言うのか!?




確かに
この光景を見て
疑問だったのは、

雪男はどうやって
小川を殺したのかと
考えていた。




むしろ
川上を失ったショックで

小川は自殺をしたとも
捉えられる。




しかし
小川は外に銃を
落としたので、
自殺もできないし

最初に大久保は
「雪男」と言ったので、
殺人と言う事が
分かったのだ。



ならば、
雪男の仕業だとしたら、

どうやって
二階に
上がったのであろうか?
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