雪情
【白井の過去ー3】


白井の彼女は
その時
すでに死亡していた…






「分かるかい…?

数秒前に話した彼女が
突然倒れて
動かなくなって
いるんだぜ…」







「一体何故?」







田崎がそう聞くと、
白井は涙を拭きながら
答えた。







「ひかれたんだよ。
車に……」






「事故かね?」







「…ああ。

しかも、
ひかれたばかり
だったらしく、

倒れている彼女の隣に
車が停まっていたんだ」







「そ、それで…?」






「しかしな、
そいつ何をしたと思う?

降りもせずに
車の窓だけを開けて、
倒れている彼女に
唾かけて
逃げていきやがった…」







「な……!?」







田崎は
それについて驚いた。






そんな話をよそに

まだまだ
悪夢の話は続いた。







「ありえないだろう?

しかも、
俺に気付いていないで
走り去ったからな。

顔もナンバーも
覚えていた」







今でも白井は
ハッキリと覚えている。




あの憎憎しい顔を…






白井の顔は
鬼のように形相が
変わっていった。






彼が見せる
殺人犯の顔である。






「…それで調べた末に、

その男の名は
藤川と言った」







「!!??」






この名前を聞いた田崎は

今までの話の中で
一番驚かされた。







「まさか!
藤川竜一かね!!?」







「ああ、そうだ。

…俺が殺した男さ」
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