雪情
【白井の過去ー10】


信じてくれる人が、
こんなに
心強いものだとは
思わなかった。







こんな人に
取り調べを任せて
ほしいものだ。







あの時
取調員が田崎だったら、

白井の人生は
どうなっていたで
あろう?







きっと
うまくいっていたな…


…と白井は心の中で
そう思っていた。






「まあ、
これで俺の過去は
全て話したつもりだ」






「…辛い過去の
連続であったね」







「ああ、
俺にとっての元凶は
藤川と言う男だ。

あいつさえ
いなければな……」






白井の人生の
全てを狂わせることに
なったのは、

藤川の行った
行為にあった。






いつも考える…







もし、
あの男がいなければ
罪に問われなかった
のに…






もし、
あの男がいなければ
大事な人を
失わなかったのに…





もし、
あの男がいなければ
こんなことには
ならなかったのに…






憎しみ、怒り、悲しみ…







白井にある
全ての負の感情が
溢れ出してきた。







しかし、
そんな白井を見て
田崎は思った。







このままでは駄目だ…

…と







「だがな白井よ、
今までの話を聞くと
お前さんにも
責任はあるぞい」







「あ?今なんて?」






「責任がある、
と言ったんだ」







田崎は
白井の話を信じていた。






信じていたからこそ、
ここで言わなければ
ならない
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