雪情
【雪男ー4】


それを聞いた田崎は、
またも頭を下げた。



「いやすまない、
私さっき少し食料を
拝借したのですよ。

もちろん、
後できちんと代金は
払いますので」



「代金だなんてそんな…

気になさらないで
ください」



そう言うと、
外のドアが開いた。



田崎はドアの方を見ると
驚いた。



入ってきたのは、
なんと女性だったからだ。



その肩には
やはり銃が掛けられている。



「あ~暖かい!
外は寒いくてヤダわ…

…ってあなた達
誰なの?」



入ってくるなり
そう田崎達に言った。



「山で遭難した
刑事さんご一行だとよ」



田崎が答える前に
小川が説明した。



「刑事さん?
こんな山奥に
どんな御用かしら?」



田崎は恥ずかしそうに



「いや、
山越えをしようとして
吹雪に遭ってね。

それで、
一時避難のため
ここに寄らせてもらった
のだよ」



「そんな薄手のコートで
山越えしようとしたの?
刑事さん山をなめすぎよ」



「いや、面目ない。
あなた達は……」



田崎が
そう言おうとすると
大久保は

「あ、スミマセン!
自己紹介がまだでしたね

私は大久保と言います」



大久保は続けて



「そして
隣のグラサンを
掛けている彼は
小川さん」



小川はヨロシク、
という感じに
手を挙げている。



「あのヒゲの生やした
貫禄がある人は
荻原さん。

私らは
荻さんと呼んでいます」



荻原は
チラッとこちらを見た
だけだった。



「最後に
こちらの女性が
川上さんです」



「川上さゆりって
言います。

よろしく頼むわ刑事さん」



と軽く手を振っている。



なかなか顔立ちのいい
美人で、
見た目は20代前半の
ようだ。



「どうも、ありがとう。

私は田崎という者です
よろしく」



田崎は軽く会釈をする
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