雪情
【雪男ー13】


そして、
出てくるなり
田崎の方を見て、

小屋の入口に指を指して
中に入っていく。







田崎も一緒に中に入った







小屋の中はとても薄暗く

カラッポで
何も置かれていなく、

小屋というより
物置といった感じである








「ここなら、
まだあんたの声が
聞こえるだろ」






と白井は
手をこすり合わせた。






「んで、さっきは
何て言ったんだ?
吹雪で聞こえなかった」







「いや、
大したことじゃないさ。

確かに
雪山をなめていたと
言っただけだよ」







「ほら、
俺の言った通りだろ?

あの家がなかったら
遭難していたぞ」







「確かにそうかもな、
面目ない」



と田崎は頭をかく






「謝るなんて、
あんたにしては珍しいな

でも、やっぱ
俺の方が正しかった
わけだ!」







白井は
鬼の首を取ったかの
ように、
にやけて言う。



白井は続けて



「ところであんたは
トイレに行かないのか?
俺はここで待っているぜ」






「お前を見張らなきゃ
ならないのに、
そんなとこ行けると
思うか?」







「別にもう逃げないさ…

って言っても無駄か。

逆に俺が刑事なら
犯罪者から目を離さない
しな」






「分かっているじゃ
ないか。

そう言うことだ」







と田崎は軽い笑みを
浮かべながら言った
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