雪情
【伝説の開始ー2】


ともかく、
川上を連れて帰ろうと
田崎は思った。






「さあ帰ろう。
小川さんも待っておるし」






「え?
私は帰らないわよ」






この答えに
田崎は唖然とした。





「か、帰らないって
どういうことかね?」





「あんな恥かかされて
帰れると思う?

ねえ白井さん」







川上は
白井の方に話をふるが、
白井は先程から
黙ったままである。






「しかし川上さん。

そんな理由で
いつまでここにいる
つもりですかな?」






「私はさっさと雪男を
捕まえて、

他の人を
見返してあげるわ。

自分自身
あざ笑われるのが、
死ぬほど嫌なのよ」






「誰も川上さんのことを
あざ笑う者はおらんよ!」






「とにかく
恥をかいた以上、
あのメンバーのところに
帰るのは絶対嫌よ」





「しかしですな…!!」





とその時、
白井が田崎の肩を
軽く叩き、
田崎に小声で話しかけた






「これ以上は
説得しても無駄だぜ。

とりあえず
今は引き揚げよう」





この言葉に
田崎は少し考えたが、
仕方なく
一旦戻ることにした。





「………分かりました。
では」






田崎は
かける言葉が
思い浮かばず、
静かに戸を閉めた。





さて、
戻るのはいいものの、
小川には何て言えば
いいのだろうか?






まあ無事だったので、
まだマシだが………






「おい何している!!
寒いんだし、
早く行くぞ!!!」





白井の言葉に
田崎はハッとした。





「おお!!
分かっとるよ!!」





そう言い、
雪の中を歩き出した
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