比丘尼の残夢【完】

※scene11『純潔処女を捧げ』

誘惑なんて、私がするわけないじゃない。


あの時の医者の言葉に私はそう思い、腹がたった。


「いてッ!!」

ビシと腕に感じた痛みに振りかえると、ご主人様が割り箸で作ったゴム銃の煙を吹き消す真似をしていた。


「どうだ、恰好良いだろう」

「...... 」

朝から真剣に何をやっているかと思えば、こんなに危険な玩具を作っていたとは。

的になるのなんて私しかなく、つまり飽きるまで狙われ続けるのは私。


溜息が出た。

反応が緩いのが気に入らないらしく、腰に差していたもう一丁を構えて見せた。


「連射!」

「いて! いて! いて!!」

「発砲訓練終了!」

「... と、見せかけて?」

「あ、わかる? もう一つバズーカ砲作ったんだけど破壊力が並みじゃなくてさ。玄関の花瓶割っちゃったんだ、片づけて置いてね」
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