灯火
お母さんが掛けたであろうタオルケットが呼吸に合わせ上下に動く。

「美月」

名前を呼ぶと、少し間をあけてビクッと肩が動いたが、鼻を啜りまた一定のリズムで呼吸をしだす。

美月は深く、でもどこか敏感になって眠っている様に見えた。

美月の部屋を後にし、階段をおりる。

リビングには誰もいなかった。

お父さんのワイシャツがソファに無造作に投げっぱなしになっているのが目に入る。

普段そんな事はなかったので、あまりにも異様に見えてしまった。

シン-…とした家。

その空気を肌に十分に感じていた。

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