灯火
お辞儀をし、おじさんは列車を降りる。

ホーム側に着いた私の席の窓から、おじさんが再びお辞儀をしたのが見えたので自分も返す。

見送るように佇むおじさんのその姿が見えなくなるまで、私は窓ガラスにへばりつき手を振り続けていた。


次は私の目的の駅。

胸に手をあてると緊張しているのがわかった。

キュッと目瞑りおじさんさんの言葉を思い出しかみしめる。


彼はどんな男性になっているだろうか?

願わくば、あの温かさは変わっていて欲しくないな。

突然行って大丈夫だろうか?

もしかして彼女がいたりして?!


そんな激しい想像に、勝手に浮き沈みしている自分がいた。

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