レゾンデートル



「初対面とか、もう関係ねぇよ。こうやって向かい合って目ぇ合わせて話したら、もう他人じゃなくなんだからさ」


来琉の言葉が効いたのか、雛春くんは目に涙を浮かべながら、「有難うございます」と呟いた。

私も雛春くんに協力したいのは山々なんだけど、優羽里ちゃんが外に出られないっていうのはどういう意味なんだろう。

監禁?
いや、それは犯罪だし…
軟禁程度かな、それも十分危ないと思うけど。


「ねぇ雛春くん、オレら協力するからさ、詳しく教えてくれない?」


私がうぅんと唸りながら考えていると、横から愛琉が雛春くんに問い掛けた。
こういう思い切りは尊敬できる、かもね。


「詳しく、ですか?」

「そ!詳しく!」


ぐずりと鼻を啜りながら小首を傾げる雛春くんに、愛琉は垢抜けた笑顔を見せる。

この双子は、なんだか突拍子もないことばかりしている気がする。


「えと、優羽ちゃん、親にギターをしているのがばれてしまって、それから携帯に連絡がとれないんです。
学校に行ってみたら、優羽ちゃんのクラスメートの子に会えて話を聞けたんですが、何でも学校にも来てないみたいで…」

「で、監禁されてるかも知れねぇってことか」

「…はい」


どうやら優羽里ちゃんは、深刻な状況に置かれているようだ。





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