すきだけど?



「なあ柊さん?」
不意にまじめな声をされて思わずみあげると、こんどは顔もまじめになっている。

「ん?」
あえて軽めに返事するとそのままちゃんとみつめられて
「彼氏、俺でええやん。もしさいご、別れることになってもうても、絶対柊さんのせいにしたりとかキモチわからへんから別れるとかそんなおわりかたにはせえへんから」

―――心が揺れる。

今まで誰もくれなかった理屈をくれたこの人に、あたしをちゃんと叱ってくれたこの人に、心がとびつきそうになってる自分がこわい。


きっとこの人なら、年下なのにあたしより年上みたいなこの人なら、もしおわることになっても、ほんとにあたしのせいにしたりしないんだろう。


でも。



今すぐとびつけない程度にはもう疲れている。


「‥あたし恐怖症ってゆったじゃん」
「わかってる。それでも柊さんがええねん」
「‥‥会ったばっかじゃんか」
「時間なんて関係あらへんよ」
「‥‥‥あたしほんとにめんどくさいと思うよ」
「それでも柊さんがええんよ」


次にまた口をひらこうとした時にはもう抱き締められていた。


「柊さんに幸せな恋みせたるから」


―――落ちた。


「‥ほんとにあたしでいいの?」
「柊さんが、ええの」
いいかげん拗ねんぞ、とちょっとふてたような顔でゆわれて、


キスされた―――――。


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