すきだけど?



「柚寿?最近どないしてん?」
「え?」

ついに葉にもきかれた。
「‥何もないよ?」
うつむいてこたえると
「それは何もない顔じゃあらへんやん、ちゃんとゆいぃよ」
やさしい声であたしをうながしてくれる。
「何もないってば!」

なのに意地はって逆ギレしちゃった。

ああまた。

いつもこうやって自分の意思とちがうことをゆって、あきれられてはなれられてしまう。


きっと今回も‥
「柚寿!」
頬をはさまれてぐぃっとあたしの顔を葉の方に向けられた。

「ちょっ、葉?!」

急にそんなことされて泳ぐ視線をとめられない。
ちゃんとこっち見てや、と真剣な声に思わず目がひきつけられてみつめてしまう。


「柚寿?ちゃんとゆうって約束やろ?」
「‥だって‥」

泣きそうになってまたうつむこうとすると、頬から手をはなして抱き寄せられた。


「柚寿が何ゆってもちゃんときいたるから」


―――――ねえ。
知っててゆってるの?


ちゃんときいてくれるってそれ、


あたしの殺し文句なんだよ?



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