COURAGE
今日の図書館は、いつもと違ってざわざわしていた。
もうすぐ学期末テストだからだろう。

テストが近づくと、あわてて参考書や辞書を使いに来る生徒が増える。

友達どうしで勉強しにくるグループもあって、席はほとんどうまってしまっていた。

もちろん、私の指定席もすでに誰かが座っている。

(どこに座ろうかな…。でも空いてる席ないかも…)
鞄を抱えたままうろうろしてたら、あの人がチラッと私の方を見た。

ちゃんといつもの指定席に座っている。

隣の席は、ほかの人の鞄でふさがっている。

あの人は、鞄の持ち主らしき男子をちょとつついて、小さな声でなにかいっていた。

すると、鞄の持ち主は黙って荷物をつくえのしたにおろす。

隣の席が空いた。

あの人は、私の方を見て、指でそのいすをトントンたたく。

(もしかして、私のために空けてくれたの?)

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