君しかいらない
暗闇に向かって必死に両手をのばしながら
隣で眠っている私を探していた。
「真理子…どうしたの?恐い夢でも見た?」
声をかけると決まって真理子は我に返ったように
大粒の涙をこぼす。
その涙が小さな豆電球の赤色を身に纏って怪しげに
だけど透き通るような光りを見せていた。
「お母さんっ…お母さんっ…!」
「どうしたの?私はここにいるよ?」
両手でキュッと抱きしめると小さな身体が震えているのが直に伝わる。