女社長は12歳
序章
「はあー……」

ノートを前に、きららは大きなため息をついた。

「いきなり、企画を出せって言われても……なにをどうしたらいいのよ…」

右手に持っていたシャーペンをノートにほおり投げた。

「ふー」

手を頭の後ろに組んで、椅子に寄り掛かった。

そしてちらっと目線を机の上にうつす。

「パパ……」

写真立てを見つつ

「パパ……おじいちゃん、ありえないよ……」

と、つぶやく。

悩んでいるのは、倉田きらら、十二歳。

どこにでもいる、小学六年生の女の子。

その、どこにでもいる小学生がなぜ、これほどまでに悩んでいるのか…

それは、一週間前にさかのぼる。
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