女社長は12歳
五章 憂鬱
「おは~きらら」

六年三組の教室。

すでに席につきランドセルから教科書を取り出しているきららに、登校してきた彩が声をかけてきた。

「お! 彩、おは~」

「ねえきらら、昨日、なんの話だった?」

彩は、席に着くなりきららに問いかけた。

「おじいさんの会社にいったんでしょ? きららのおじいさんの会社って、倉田商事よねえ。あたしでも知ってるんだから、大きな会社なんでしょ? おじいさん、なんだって?」

「……うん…それがね、彩……あたし、ミニバスの練習が少しおろそかになっちゃうかも……」

「ん? どして?」

「うん、実は、あたし……その倉田商事の社長に……させられちゃうかもしれなくなった……」

「しゃ! しゃちょ~~?」

彩は教室に響き渡るほどの大声で叫んだ。

周りが一斉に二人に視線を集める。
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