女社長は12歳
二章 VISITORS
「もっと回せ! コートを広く! よし! シュー!」

「ナイシュー!」

午後の体育館、暗幕の隙間から西日が差し込んでいて、すじ状に壁や床を照らしている。

しかし、練習中のプレイヤーには、そんなものをゆうちょうに見ている余裕はなかった。

ここ金白(かねしろ)小学校の体育館は今まさにミニバスの練習のまっ最中。

四年から六年までの女子、約二十人のプレイヤーが、キュッキュッとバッシュを鳴らしながら練習に励んでいる。

「よーし! じゃあ五分休憩! 次は五対五だ! 一クオーターはビブスを着てろ!」

「はい!」

コーチの声に全員が声を揃えた。

コーチの武田は二十八歳。

この学校のミニバス出身者で、現在は地元の石油化学工場に勤めている。

仕事が三交代制なので、昼間に仕事がないときにこうしてミニバスの練習を見ているのだ。
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