地味子の秘密 其の四 VSかごめかごめ
彼女の母親に尋ねたが、元々彼女が好きで歌っていたわけではなく、目が覚めた日から……引っ切りなしに歌うらしい。


歌う時の表情は、笑みを浮かべているが――…あまり…気持ち良い笑みではない。


逆に、恐ろしい笑みだ。




「おかしいのは……かごめ歌だけではないんです…」

「え…?」


お母さんの方を見た。


「この子には――、付き合っている男の子がいます」

「彼氏さんですか…」

「えぇ……慧君と言うんです。だけど、この子は…慧君だけが……視えないんです」

「視えない……?」


意味が理解出来ずに、聞き返す。


「慧君が隣にいても……娘は、“視えてない”し、慧君の存在すら“覚えてない”んです」

「…え…っ…」


驚きで…目を見開いた。
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