2匹の蝶々

夢の中で ー心 Sideー



夢を見た。


夢の中のあたしはもう大人で。

隣には…音。


あたしは小さな赤ちゃんを抱えている。

そんな…夢の中でだけの話。


幸せだった。

赤ちゃんをいとおしそうに見つめるあたしと音は笑っていて。

夢の中でだけど、とても幸せになった。


こんな日がくるといいな…

でも…―


そこで、視界がぼやけた。

「…ん」
「心…?」

目を覚ますと、そこはあたしと音の部屋で。

目の前にはお母さんがいた。


「お母さん…」
「ああ、よかった…。熱はだいぶ下がったみたいね、水持ってくるわね」

あたしは頷いた。


そうだ…あたしは朝起きたらカラダが熱くてそれで気を失って…

あれ??


…音は?

音はどこ??


部屋を見渡しても、音の姿は見当たらない。

「はい、お水。」

部屋に戻ってきたお母さん。

あたしはお母さんが渡す水を受け取らずに俯く。


「水、いらないの?」
「お母さん…音は?」

あたしは涙目でお母さんに問う。

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