2匹の蝶々


本当なら。


今すぐ心を押し倒してやりたい。

全て、壊してやりたい。



…でも。

そんな事は出来ない。



心の怯える顔を見たくない。


「音、何ボーッとしてるの?」
「あ、いや」
「行こ??」


心は俺の手をつかんで、玄関に向かった。


「「行ってきます」」
「行ってらっしゃい。2人とも」


そして、2人で学校に向かった。


「友達、出来るかな?」

学校に着くと、心は急に不安な顔をした。


「大丈夫だよ」
「ねえ、音?もし、あたしがいじめられたら守ってくれる??」


深い意味もなく、心は言ったのだろう。


でも、俺は。



「ああ、絶対。心を守る」


本気で、言ったんだ。


「よかった」

何も気づかずに、心は安心したように笑った。



ねえ、君は気づいてた??

俺は。


大好き、の意味で言ったんだよ。



気づいて、くれよ。

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