2匹の蝶々


「心は、きっと俺を双子の弟としてしか見てない」


当たり前だ。


「でも、俺は心を愛してる」


愛してる…


「だ、めだよ…そんな事、言わないで」
「…なんで??」

今にも泣き出しそうな目で、音は聞いた。


「だって…」


音が。

男に見えてしまう。


双子の弟としてじゃない。

1人の男として。


愛してるなんて…

言わないで。


「だって、何?」
「だって…音が、双子の弟じゃなく見えるから…」


あたしが震えながら言うと、音はパッと押さえつけていた手を離してあたしの頭を撫でた。


「それって、俺。心に期待してもいいの??」
「え…んっ…」
「もう、何も言わないで」


今度は、手であたしの口を塞いで。

そして、ソファから降りた音は黙ってリビングから出て行った。


「っ…」

どうしよう。


あたしは双子の弟とキスをしてしまった。


2回も…



でも。

何で??


何でキスなんてするの?

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