2匹の蝶々

俺も心を手招きして、向かいの椅子に座る。


隣の椅子に座った心は俯く。


「で、話って?そんなに大事な話なの??」
「ああ」

俺は息を吐いて、話し出す。


「…俺。心が好きだ」
「…音」

心はこちらを見る。

心は…

泣きそうだ。


頼むから、泣かないでくれ。

俺が守るから。


「は…何言ってるの、音?冗談はよしなさい」

お母さんは顔をしかめて俺達を見る。

「本当なんだ。冗談なんかじゃ、ない」


俺はまっすぐお母さんを見て言った。

お母さんは眉間にしわを寄せた。


「っ…やめなさい!!」
「お、母さ…」

心は叫んで立ち上がるお母さんにビックリしていた。


そりゃ、そうだよな。

お母さんはいつも笑顔で優しくて…

でも。


俺は知ってるんだ。

お母さんが、怒ったらどれだけ怖いかって事。


幼い時から知ってた。


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