恋愛一色
廊下の突き当たりが社会科資料室だ。


俺はそっとドアに手を掛け、ドアをゆっくりと開いた。


そして、一歩足を踏み入れた。


社会科資料室に入るのは初めてだ。


古びた本の独特な匂いが漂っている。



『先生ー…?』


俺は小さな声で言った。

『誰?』



すると、奥の部屋から先生の声が聞こえた。


舞い上がる俺。



すぐに声が聞こえた方に向かった。



先生は社会科資料室と繋がった部屋で、コーヒーを飲んでいた。



だけど…そこにいるのは先生だけじゃなかったんだ…


先生の隣に座っていたのは、一人の男の生徒だった。


スリッパの色からすると、三年生だ。



『沢村君、おはよう』



先生はいつもと同じ笑顔で俺を見てくれた。


動揺をしているのは俺だけ…か。



『あっ…うん…』


俺は苦笑いをし、ちらっと隣の生徒を見た。


生徒は、俺を見て鼻で笑った。


そして先生に『また来るよ』と伝えて俺の横を通り、社会科資料室から出て行った。



先生と俺の間に沈黙が続く。



やっぱり…先生を好きなのは…



俺だけじゃないんだ…
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