the age of civil war
「タケル!何故、この世界には魔法が存在するのか答えてみろ!」
本当に眠っていたのか、まだうっすらとしか目を開けないタケルに、村長は怒った口調のまま尋ねる。今はまあ怒ってはいるが、怒っていなくてもだいたいキツイ口調ではある。江戸っ子みたいなものだと思ってもらえればありがたい。
「答えろ!タケル!」
「うるせえなあ。」
タケルはだるそうに頭をポリポリかき、スッと正しく座り直し言った。
「俺が天才だからだ。」
「てめえ!あの川でいっぺん沈んできやがれ!」
もう片方の靴がタケルの頭に直撃。
「このバカ息子が…。クロス。お前はわかるな?」
村長はイライラをグッと我慢し、タケルの隣に座っているクロスの方に視線をチラッとやる。
「神様の力を分け与えられたから。」
クロスは、最初に自分に当たった一足目の靴の汚れを払い、手渡しながら答えた。
「そう。神アーシェから与えられた力なんだ。じゃあ復習するぞ。」
村長は、この世界の始まりを話し始めた。
アーシェ。それはこの世界の神の名前であり、この星の名前でもある。星=神なのだ。
アーシェが山や川や土地、海や空、すべてのモノを創造し、お互いの力が争うことのないように、自分の力をバランスよく分け与えたそうだ。たとえば木々達は、川の水を自らのエネルギーに変えることができるが、木々達は火に対してどうすることもできない。
そしてそのバランスが崩れてしまうことがないように見張りとして、四人の精霊を生み出し、各地の守護にあたらせた。
しかしアーシェはそれだけでは不十分と考えたのか、次に生物、人間などを生み出した。アーシェと同じで自らの姿を物理化できない精霊では自らが手を加えて、自然を豊かにしていくことはできない。人間の手によって自然を守ってもらおうと考えたのである。そのため、人間にも各地の力の一部を分け与えたのだ。各土地に住む、それぞれの人間達も争わないように…それぞれが助けあってアーシェを守っていくために…。
しかし、世界は各地で争いが相次ぎ、大混乱時代を迎えている。
だからこそ村長は、何故自分達にそんな力があるのか?というのを、教えて行きたいのかもしれない。
村長も戦争の傷を持って、この村で暮らしているのだから。
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