君と、サヨナラ。
「幸樹、わかってるよ」

「っ…そうか…
辛けりゃいつでも相談しろ!!俺はそのためにいるんだからな!」



幸樹は去り、残されたのは。



「ちゃんと、現実と向き合えた?」

「…」

「あたしはもう、いない。
だけど、恭君があたしと会うことを強く望んだから。
あと、あたしも望んだから、会えたの」

「…あぁ。」

「でも、あたしもう長くないから。」

「…まだ、会えるよな!?」



俺は、実柚の手を握ろうとした。
しかしつかんだのは、実柚ではなく空気。
俺は空を切っただけ。


「…っ」


伸ばした右手を引っ込め、静かに見つめる。
そして強く握って、顔を上げた。

俺達は元には戻れない。
そこには、生と死の、距離があるから。
いつの間にか俺たちは。
こんなにも離れてしまってた。

















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