バンビ
そんな会話をしているうちに、モモが上から降りてきた。

「ああ、レンお帰りなさい。」

それだけ言うと、いそいそとエイジのために、何かお茶の用意でもしているようだった。


べべさんは、そんな二人のやり取りを見ながら、やけにニヤニヤしている。

きっと、なにか僕らにわからないこともわかってんだろうなって思う。



「モモちゃんが、男子の前で自然にしてるのって、凄いよね。」



キッチンにいるモモの後姿を見ながら、ポツリとべべさんが話した。

確か、カズおじさんも似たようなこといってたっけ?
それって、凄いことなのかな?
僕の前では、いつもあんな感じだから、よくわからないや。



「さっき、アイツにいっといたんだ。
俺の前では、普通にしてろって。

別に、好きでもない男に媚売ってもしょうがないだろ?」



ああ、そういうことか。




でも、モモはそうはっきり言われて、ショックだったんじゃないかな。

ちゅーか、モモの気持ち全然分かってないんだ、エイジってば。

それってどうなの?



「分かってないなー」


僕の気持ちを代弁するかのように、べべさんがそう笑っていった。



「モモちゃんはね、ブリブリしてるほうが自然なのよ。
敵を作らないために、外見のイメージ通りの、可憐な少女を演じてるわけ。
人の期待を裏切らないための、彼女なりの優しさなんだから。

だから、君は特別なんだよ。」




















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