バンビ
人に優しく
あれから俺はモモの学校に迎えに行くようになった。

俺が行くようになってからは、例の追っかけのヲタクたちはなりを潜めているようで、モモの前には現れる事はなくなっていたし、俺たちもつかづ離れずって感じの距離をとって帰る。

たまにモモのうちによってお茶をして帰ったり、おじさんたちがいると飲まされたりもして、ビトと別れたばかりだというのに、意外とこいつも元気になってきていて安心した。


「そういえばエイジ君、次の日曜日空いてない?」

話の流れでそんな風に聞かれて、特に予定もバイトもなかったから空いてると答えたら、買い物に付き合って欲しいと頼まれた。

「ラフォーレのバーゲンなんだよね、私そういうの行った事ないから行ってみたいんだ。」

「ああそうなんだ・・・」

適当にいいよと返事をしてしまったけれども、ちょっと待てラフォーレって・・・



リンダの職場だ・・・

彼女はそこに入っているショップの店員をしている。
髑髏やロックテイストのゴスロリ御用達のショップは、きっとモモはいかなそうな気がしたけど、ほんの少しだけ不安がよぎった。


「そうだ、買い物の後はパンケーキ食べに行こうよ。一回食べてみたかったの。」

「えー、すげー並ぶんだろ、ヤダ。」

それは速攻断ったんだけど、モモがどうしてもというからしぶしぶ行く事になりそうだ。



なんだこの、不安ばっかりのデートは。


普通のデートって、もっと楽しいもんなんじゃないのか?
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