バンビ
食事中ずっとカオリさんは昔のスカパンクの曲をかけていた。

今度行く野音のライヴで、復活ライヴをするらしいバンドの曲。


I can fry…♪


“君が笑ってくれるなら、僕は空も飛べるのに…“

そんな訳詞を思い出した。


カオリさんはずっと楽しそうに笑う。

それがたまらなく嬉しいんだ。



「楽しみだねライヴ、来週の日曜かぁ…」

「あ、チケット渡しとくよ。モモちゃんとエイジ君も行けるんだよね?」


あ、忘れてた、ちゃんと返事もらってたっけ?
そう思って携帯を見たら、メールが何件か来てて、モモとエイジとそれぞれからライヴ行けるよって返事が来ていた。


「うん、行けるってさ、良かったチケット無駄にならなくて。」


確かにミヤコさんのバンドも急遽出ることになったんだよな、楽しみだよなぁ。



「リンダちゃんも誘いたかったけど、やっぱやめた方がいいよね…」

珍しく気を使ってそんな風にいってくれるから、ああちゃんとわかってたんだって思う。

やっぱ昨日は、そんなに酔ってなかったんだな。



「そうだね、まだ気まずいだろうしな。」

リンダさんも、早くいい人見つかるといいのになぁ…


「モモちゃんたちは、上手くやってるの?」

「うん、たぶんね… あいつらなにげに僕には何も話してくれないんだよな…」

前は結構なんでも話してた気がするんだけど。


「そりゃあそうでしょ、兄弟の恋愛ネタなんて、普通話しづらいよ、特に異性だとね。」


ビトの時は、そうでもなかった気がするんだけど。


「後さ、レンはおしゃべりだから、警戒されてんじゃない。」

そういってカオリさんは笑った。

最近僕もそう思う、ちょっと気を付けよう…



「まあでも、そこがレンの可愛いとこでもあるけどね。」




すっかりご飯も平らげて、ライヴのDVDなんか二人でボーッと見ていたら、あっという間に日が暮れていた。


「そろそろ帰ろうかな、明日から部活もあるし。」


すっかり忘れてたけど、学校は休みでも部活や合宿はあるんだよ。



「今度試合見に行くね!」

「うん、また頑張ろう!」

カオリさんが来てくれると思うと、なんか頑張れる気がする。




そして、中野駅までカオリさんは僕を送ってくれて、駅の改札でバイバイをした。








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