バンビ
サマーホリデイスカイ
モモやレンに誘われて、今年はサマソニに行くことになってしまった。

俺こういう大きなイベントいかねーって言ってたのに、ランシドやグリーンデイ出るからってゴリ押しで誘われて、しぶしぶ行くことにする。

チケットはどうやら、Babyに取ってもらったらしい。


会場についたとたん、人が多すぎてもうそれだけで気分が悪かった。



「エイジくん、何か食べよう!」

モモはやたらはしゃぎまくって、毎年来てるからかなれた感じだ。


「あーあれ、カラアゲ屋さんあるよ!」


どっかのバンドが出展してるらしいそのお店に行くと、俺はさりげなく自分の分のチューハイとから揚げをモモに買ってやった。



「それなに呑んでるの?」


ニコニコしながら聞いてくるので、レモンジュースだって嘘をついたら、そのまま信じていたのでちょっと心が痛む。



「あー早速食べてるね~♪」

カオリンとレンも違うブースでなんか買ってきて、一緒に適当な場所を見つけて呑んだり食べたりしているのを、俺たちも合流した。


「あ!モモちゃん久しぶり!」

この前野音であった、ナホちゃんやシンジさん、ミヤコちゃんなんかも集まってきて、この前みたくわいわいみんなで飲んでいる。
もう一人はじめて合う男子がいて、ミヤコちゃんの彼氏だって紹介された。


「あっちでエビボのライブ始まるけど、行かないの?」

その男性は業界の人らしく、カオリンにそういって誘っていた。



「えっと、行って来ていいかな?」

モモのことに気を使ってるのか、珍しく控えめにそんな風に言う。


「私も行こうかな?ねえ、エイジ君も見たことないでしょう。」



別に一緒に会ったりする訳じゃないもんな・・・
俺だって、友達のライブは見てみたいと思った。

この前のアキラのこともちょっと気になったしな。

ついこの間、アキラがふらっとうちの店に買い物に来たときがあったんだ。





割と小さめなステージには、このイベントに不釣合いな女の子ばっかりがいて、アイドルのファンなんだろうなって思う。

パンクっぽい奴はあんまりいないな。



後ろの方でモモと手を繋ぎながら見ている。

モモはじっとステージをまっすぐに見つめたまま、俺の手を力強く握っていた。

何か不安でもあるのだろうか?

大丈夫だよって俺もしっかり握り返す。



< 240 / 266 >

この作品をシェア

pagetop