バンビ
二学期が始まり、また新たな学園生活がスタートする。

夏休み明けのクラスメイト達は、何だか一回り大人っぽくなったヤツが多くて、日焼けで真っ黒の奴らも一人や2人ではなかった。
そういう僕も、部活で毎日のように練習していたから、少し成長しているかな?

「レン、なんかでかくなったんじゃない?」

隣の席の女子にそんな風に言われて、ちょっと嬉しかったりして。

確かに、身長も少し伸びたし、前より筋肉もついてきた気がする。



エイジは相変わらず、ぼんやりと外を眺めている。




「ちょっとレン、見たよサマソニのHP! アキラと友達だったの?凄いじゃん。」

アイドルオタクのクラスの女子が、どこからともなく集まってきていて、例の写真のことを言ってきたので、ちょっとめんどくさいなって思いながら話をあわす。


「ああ、たまたま一緒に居たからとってもらっただけだよ。別にそんな仲良いわけじゃないし・・・」

あれから一応連絡先の交換とかしちゃったけど、特にメールしたりしてないし、用事があるわけでもないしな。
どっちかって言うと、アキラはエイジとかの方が気が合うんじゃないかと思う。

僕はなんとなく、ライバル視してるから、気に食わないだけかもしれないけれど。



女子達の質問攻めに一通り適当に答えているうちに授業が始まり、休み時間になるとまた女子達に捕まるの繰り返しで、始業の日は一日めんどくさかった。


今日は午前中だけで弁当もないから、授業が終わると部活に行こうとしていたところにエイジに声をかけられた。

「レン、今日も部活か?」

「そうだよ、どうしたの?」

何か相談でもあるのかなって思っていたら、また違う女子に捕まってしまう。

「ねえレン君、私もサマソニの写真見たよ!凄いね、そういえばお父さんもアイドルなんだっけ?」

みんな似たようなことを言うので、ゲンナリする。僕もアイドルになればいいのにっていってくる子も一人や2人じゃなかった。

「エイジも一緒に行ってたんだよな、アキラとも話してたじゃん。」

無意識にエイジも会話に入れてやらなきゃって思ってしまい、エイジもアキラと知り合いだって口が滑ってしまった。


「ええーー、高橋君もそうなの?うらやましい~今度紹介してよ。っていっても、私はビトの方が好きなんだけどさあ~」

きっとみんな本気じゃないだろうけど、そんなこと言われるの迷惑だよな。
僕も、ビトと幼なじみだって、高校に入ってからはエイジ以外に言ってないもん。


「無理、アキラとは友達でも何でもねえもん、俺にふるなよ。」


明らかに嫌そうな顔をしてエイジが彼女らに言うけれども、「だよねー」なんて適当に返していて、みんなひるまない。




「俺モモ迎えに行くから、後でまたお前んち寄るかも。じゃあな。」


エイジはそれだけ言うと、右手をひらひらさせてさっさと帰っていってしまった。



「なに?高橋君って彼女いるの?」

周りがちょっとざわついたけど、僕はそうだよって答えたきり、色々聞きたがる女子達にそれ以上は何も言わなかった。


また余計なこと言ったら、エイジに怒られるしな・・・
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