もしも、世界が美しかったら



「あれ、利玖は?」

いつもは大体3人で来ていたので今日は利玖がいないことに夏琅は首を傾げる。


「用事でちょっと遅れるってさ」

「ふーん」

「みんなは?」

「まだ!來は午前も来てたけど、一回家に帰った。花梨たちと来るって〜」

「そ」

短く返事してベットに腰掛ける。

愛輝は夏琅の正面のイスに座って目を輝かせながらギターを見ていた。


「歌上手いのは知ってたけど、ギターも出来たんだねっ」

「だろ?サッカーも上手いけど、ギターも一級品だろ?」

「サッカーは夏琅より涼介の方が上手いしカッコイイ!」

「うわ、そこは‘サッカーは涼介の方が上手いけど、夏琅の方がカッコイイ’だろ?」

「そういうのは來に求めろよ」

いつもみたいに談笑する。


話がつきることなんてない。

誰かがボケて、誰かがつっこんでみんなで笑って…。

ホント楽しくて仕方がない。


でも……………

もし夏琅が助からなかったら?

こんな幸せは全て壊れるのか?

今みたいに笑い合うことはなくなるのか?



「どした、由輝?」

夏琅の言葉で我に返った。

2人とも不思議そうな顔をして、俺を見ている。







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