もしも、世界が美しかったら



「…………………。」

「大丈夫、なんだからぁ……っ」

じんわりと滲んでいく視界。

碓水がぽんぽんと優しく頭を撫でてくれた。

その拍子に涙が溢れる。

それに続く様にボロボロ、ボロボロと溢れては落ちていく。

さっきあんなに泣いたのに……

まだ、こんなにも涙が残っていたんで自分でちょっとビックリ。

私、こんな泣き虫じゃなかったのになぁ………。

――それだけ由輝ちゃんの存在が大きかったなんて失って気付いた

(あんなに一緒にいたのに、ね)

泣いている間…碓水はずっと私の頭を撫でてくれた。

それが、温かくて切なくて…

余計に涙が溢れた。


しかし…涙で滲んでいた世界が、不意にぐにゃりと歪んだ。

「ッッ!?…はっ…ぁ…ッッ」

「相原?」

私の異変に気づいた碓水は手を止め、顔を覗き込んできた。

「くっ……あ…ぅ……はッッ」

頭が重い。手や足が震える。

体に力が入らない。苦しい。

「……っ…っ!…ゲホッッ」

「相原。落ち着いて深呼吸してみろ。ただの過呼吸だから……」

そう言って背中を擦ってくれる碓水の言葉は、今の私に届かない。








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