大嫌い、でも、大好き

またいつもみたいにケンカになる私と悠希。

ケンカがしたいんじゃないのに…。



「はいはい、喧嘩すんなよ。お前ら…」


「「悠希(千鶴)が悪い!!」」



声が被った私たちを喧嘩の仲裁に入った順平が呆れたように笑っている。



「千鶴、悠希はな…ガキ大将なんだよ。」


「…は?ガキ大将?」


「そうそう。好きな子ほど虐めたいただのガキ大将。」



慌てる悠希ににんまり笑う順平。

私は首を傾げた。


ガキ大将…?うん、それは何となくわかる。

でも好きな子ほど虐めたい?


好きな子…?



「好きな子…?」


「そう、好きな子。」



にんまり笑ったまま私を指差した順平の隣でうなだれている悠希。

ん?好きな子?



「…………………私?」


「っそうだよ!俺は千鶴が好きだよ!悪いか!?」



勢いよく怒鳴る悠希は真っ赤。

よく意味が理解できなかった私は自分でも自覚している、無い脳みそを使って解読する。



「悠希が…私を…好き……?」


「……悪いかよ。」



バツが悪そうに目を逸らした悠希に私は自分でもわかるくらいに顔を真っ赤にした。


――…嘘でしょ…?


片思いだって思ってたのに…。



「わ……悪くないっ!」


「…そうかよ。」



ぶっきらぼうに言うけど悠希はすごく優しく笑ってくれた。

片思いだって悲観して、伝える勇気すらなかったのにね。

今はこんなにうれしいんだよ。




「悠希…付き合って下さい。」



こんなに簡単に言葉にできちゃうんだよ。




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