大嫌い、でも、大好き



「またやってんのかよ。
成長しない奴らだなー!」


「順平!俺は成長してるだろ。してないのはこっち。」


「はぁ?成長してないのは悠希でしょ?そうだよね?順平!」



短髪長身の新谷順平。

俺や千鶴の幼なじみみたいな存在のやつ。



「どっちもガキだろ。んな痴話喧嘩してる時点で。」


「痴話喧嘩!?そんなんじゃないわよ!」



イライラしてるのがありありとわかる声で怒鳴って俺と順平から離れていく千鶴に思わずため息を吐いた。



「お前…バカだろ。」


「う、うるせっ…仕方ねぇだろ!」


「あのなぁ…千鶴意外も意外。
人気あんだからモタモタしてっとマジで手に入らなくなるぞ。」



順平に笑おうとしても無駄に真面目くさった顔してるから黙り込んでた。

多分…千鶴はひいき目なしにも可愛いと思う。

ひいき目ありなら有り得ねぇくらい可愛いけど…


しかもこんなド田舎だと同じくらいの年のやつはみんな友達だ。

理由は簡単だ。小学校と中学校は同じ校舎で一校しかない。当たり前に高校だって一校だ。

もし誰か知らない奴がいるならお目にかかりたいくらいだ。



「じゅんぺー…」

「うわっ、寄るな、くっつくな!どうせくっつかれるなら千鶴が良い!!」

「は?お前どさくさに紛れて何言うか!この裏切り者ー!!」



不安もある。

それでも俺はこの町に来てよかったと思う。



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