流れ橋
ここに着く前、わたしは、独りはや歩き競争をしていた。

その為、ノドが渇いてカラカラだった。

ジュースでも飲もうかな。わたしは、ベンチにカバンを置いて立ち上がる。

こんな日は、なんかスキッとするのがいいねと、炭酸系のジュースのボタンを押した。

缶ジュースを取り出して、ベンチに戻ると朋子が座っていた。

「足がはやいよ。なかなか追い付けなかったよ。」朋子の額から、汗が流れている。

「ごめん。」わたしは、持っていた缶ジュースをあけて、朋子に渡した。

「ありがとぉ。」朋子は、ゴクゴクと喉を鳴らして飲んでいる。

「倉石さんは、どうしたの?」わたしは、尋ねた。

「あのあとすぐ、藍子を追いかけたから知らない。けど、知らなかったなぁ。まさか、田中君と付き合っていた人がこの学校にいたとはね。」朋子は、汗をふいている。

「付き合ってた。じゃなくて、今も続いているみたいな言い方してたよ。倉石さん。」
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