裏表な彼氏×天然な彼女
一気に静まり返る校内。


唯一喋っているのはあたしを本当の姿にさせた(ウィッグを取った)那津だけ。


「やっぱり莉畝だったのか…。 なんでわざわざ地味な格好してんだよ?」


昔と変わらない、人の気持ちを考えずに行動するところ。


そんなところが好きだったよ?
“昔は”ね。



「はよ〜☆ ってあれ? オレ、もしかしなくても場違いな雰囲気!? てか莉畝、なんでウィッグ取ってんの!?!?!?」


もろにKYなヤツ、浬玖の登場。


しかしツッコミ的にはナイスだ。



「莉畝…会いたかった…」


と那津に言われ、抱き着かれた。


昔と何一つ変わらないその行動は…今のあたしにとって胸が締め付けられるものだった。


那津から香る、あの日と変わらない香水の香りが鼻孔を擽(くすぐ)る。


頭に思い浮かぶのは三年前…つまり小学六年生の頃の記憶だ。





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