あなたの大切なもの

妄想

ザワザワ――


いつもと同じうるさい教室で、あたしはいーちゃんを見つけた。
いーちゃんはいつもの笑顔でニコニコ笑って、あたしの方を見ていた。


「ゆーちゃん! 隣座ろー?」

「うん、座る♪ んでさ、いーちゃん陸斗とはどやった?」


陸斗の話を持ちかける。
途端にいーちゃんの顔が真っ赤になった。


「楽しかったぁー! 5分もなかったけど、めっちゃ喋れたぁ☆ ほら、陸斗っていっつも男子と居るやん。いっつも喋れんくて、イライラしとってんよ。男子どけや、みたいな?」


同じ意見を持ついーちゃんに、あたしは身を乗り出して頷く。


「分かるそういうの! それで女子とまで喋っとったら、むっちゃ嫉妬するよなぁ。 あーゆーの、むっちゃ付き合いにくいやん。付き合っても、あたしはやきもちが原因で別れそう!」

「付き合えるか分かんないけどねー! 片思いやし…」

 
片思いって辛いよなあ。
あたしも今、良紀にそうやし…。
絶対あんなに赤くなっとったら、バレるよなあ…。
あかんなぁ、あたし。
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