Dangerous city
『大学病院占拠事件ではご苦労だったな。あれから事件の事後処理やら書類なんかでなかなか時間が取れなかったが…仕事もひと段落した。彼女を遊びに連れて行ってやれ』

警視庁公安部外事四課の新米捜査官には荷が重過ぎるあの武装グループ篭城をほぼ一人で制圧し、奪還した天然痘ウイルスが偽物である事に気づいて逃走した犯人の足取りを追い、無理をするなと病院に強制入院させられ、病み上がり後も報告書提出や事後処理に奔走し…。

気がつけば『大学病院占拠事件』から、一年が経過していた。

一体いつから俺は休暇をとっていなかったのだろう。

既に前回の休暇がいつだったかも忘れた頃、俺は先輩捜査官の六道さんから休暇をすすめられた。

仕事に打ち込んでくれるのは有り難いが、その仕事のせいでお前の彼女の婚期が遅れ、それを恨まれても困る、というのが理由だそうだ。

本来なら冗談と受け取るべきだろうが、六道さんは前回の事件をきっかけに俺の彼女…二宮ハルカと面識を持った。

あの跳ねっ返りぶりを目の当たりにしているのだから、額面通りに受け取っても然程問題はないだろう。

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